GLOSSARY

MRR・ARRとは?

MRRとは、毎月繰り返し発生する収益(月次経常収益)のこと。ARRはその年間版(MRR×12)で、サブスクリプション・SaaSビジネスの規模と成長を測る最も基本的な指標です。売り切り売上と分けて管理します。

実務での使い方

MRRの本質は「単月の売上」ではなく「来月も続く売上」を測ることです。初期費用や一時的なスポット売上は含めず、月額課金の合計だけを数えます。月額5万円のプランを100社が契約していればMRRは500万円、ARRは6,000万円です。年間契約は12で割って月額換算に統一します。この分離により、「今月は大型の一時売上で好調に見えるが、続く売上は減っている」といった実態が見えるようになります。

実務では金額そのものより増減の内訳が重要です。MRRの変化は新規(New)・増額(Expansion)・減額(Contraction)・解約(Churn)の4要素に分解でき、この分解が打ち手の議論の土台になります。当サイトのNRR計算ツールで増減の内訳から維持率まで一度に計算できます。

MRRの内訳4種類(New・Expansion・Contraction・Churn)

月初のMRRと月末のMRRの差は、必ず4つの要素に分解できます。①New MRR=新規顧客の獲得による増加 ②Expansion MRR=既存顧客のプラン増額・追加購入による増加 ③Contraction MRR=既存顧客のダウングレードによる減少 ④Churned MRR=解約による減少、です。

この分解が重要なのは、同じ「MRR横ばい」でも意味がまったく違うからです。新規が多いのに解約で相殺されているなら穴の空いたバケツ状態で、獲得コストが利益を食い続けます。逆に新規が少なくても増額が解約を上回っているなら、既存顧客だけで成長できる健全な状態です。

月次の経営会議では、MRRの合計額だけでなくこの4要素を毎月同じ形式で報告するのが定石です。増減の内訳から計算されるNRR(売上維持率)が100%を超えているかが、事業の健全性を測る分水嶺になります。

New新規顧客の獲得で増えたMRR(+)
Expansion既存顧客の増額・アップセルで増えたMRR(+)
Contraction既存顧客の減額・ダウングレードで減ったMRR(−)
Churn解約で失ったMRR(−)

月末MRR = 月初MRR + New + Expansion − Contraction − Churn。この4分解がSaaSの月次報告の基本形。

MRRブリッジ(ウォーターフォール)とは?

MRRブリッジとは、月初のMRRから月末のMRRへ「何がいくら増やし、何がいくら減らしたか」を段階的に示す表・グラフのこと。滝が流れ落ちる形に見えることからウォーターフォールチャートとも呼ばれ、投資家報告や経営会議のSaaS売上報告の標準形式です。

例えば月初1,000万円→New+80万円→Expansion+50万円→Contraction−20万円→Churn−40万円→月末1,070万円、のように橋を架けるように表現します。単なる増減額の合計ではなく「どの要素が効いたか」が一目で伝わるのが利点です。

作り方はシンプルで、請求データを4要素に分類して並べるだけです。毎月同じ形式で作ると、「Expansionが伸び始めた」「Churnが3ヶ月連続で増えている」のようなトレンドの変化が早期に見つかります。まずは表形式で始め、必要になったらグラフ化すれば十分です。

ARRとMRRはどちらで管理する?

使い分けの目安は、社内の月次運営はMRR、対外的な規模の表現や年間契約中心の事業はARRです。月次で契約が動くセルフサーブ型・中小向けSaaSはMRRの方が変化に気づきやすく、年間契約が中心のエンタープライズ向けはARRの方が実態に合います。

注意点は、ARRを「直近月のMRR×12」で計算する場合、たまたま良い月を12倍すると実力より大きく見えることです。また一時売上・導入支援費をARRに含めるのは投資家への説明で問題になりやすく、経常収益だけに絞るのが原則です。年払い契約の12分割や初期費用の除外といった計上ルールを社内で統一しておかないと、月次の比較そのものが崩れます。

成長目標の管理では「T2D3」(原典では約200万ドルのARR到達後、3倍・3倍・2倍・2倍・2倍の5段階で成長させる)のような有名な目安もありますが、まずはMRRの4分解とNRR100%超の維持が土台です。土台のない成長目標は、解約の穴を新規獲得で埋め続ける消耗戦になります。

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最終更新: ・ 作成:Digital Sales 編集部

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