ヘルススコアとは?
ヘルススコアとは、顧客が継続しそうか・解約しそうかという「健康状態」を、利用状況・関係性・成果などのデータから数値化した指標のこと。解約の予兆を手遅れになる前に検知し、先回りの支援につなげるために使います。
実務での使い方
一般的には、利用データ(ログイン頻度・主要機能の活用)、関係性(推進役の有無・定例への反応)、成果(導入目的の達成度)、契約(更新への姿勢)の4系統を重み付けして100点満点などで採点し、健全・注意・危険に色分けします。解約予兆との関連が強い利用・成果系の重みを厚くするのが定石です。
最初から完璧なスコアを作る必要はありません。利用ログの基盤が整う前は、担当者の観察にもとづく選択式の簡易採点でも「危険な顧客から順に対応する」運用は始められます。精度は、実際に解約した顧客の共通点をスコア設計に反映することで上げていきます。
ヘルススコアの設計手順
設計は、①解約・継続した過去顧客を見比べ、差が出ている行動・状態を洗い出す②その中から計測可能な指標を選ぶ(ログイン頻度、キー機能の利用、サポート問い合わせの内容、担当者の交代、NPSなど)③指標に重みを付けて合計スコア化する④実際の解約実績と突き合わせて重みを調整する、の順で行います。
最初から精緻なモデルを作ろうとせず、3〜5指標の簡易スコアで運用を始めて磨くのが定石です。指標が多すぎると更新されなくなり、形骸化します。
カスタマーヘルススコアの配点例:5指標100点で作る
「カスタマーヘルススコア」「顧客ヘルススコア」と呼ばれることもありますが、指しているものは同じです。作り方の具体例を挙げると、5指標100点満点であれば次のような配点になります。週次のログイン率(利用者数÷契約ライセンス数)25点、キー機能の利用有無25点、導入目的の達成度20点、推進役の在籍と定例への出席15点、直近の問い合わせ内容(不満・障害の有無)15点。
配点の原則は、解約との相関が強い指標を重くすることです。上の例では利用系(ログイン+キー機能)で50点、成果系20点と、利用と成果で7割を占めています。関係性や満足度アンケートは重くしすぎないのが定石で、担当者の印象が良いまま解約されるケースが珍しくないためです。
運用を始めたら、実際に解約した顧客が解約の3か月前に何点だったかを確認します。危険域に入っていなかったなら、指標か配点が解約の実態を捉えていないということなので、その顧客に共通していた変化(推進役の交代、特定機能の利用停止など)を指標に足します。逆に、ほぼ全社が満点付近に並ぶ場合は基準が緩すぎて、危険な顧客を見つけるという本来の役に立っていません。
配点の例(100点満点)。利用系50点+成果系20点で7割を占め、解約との相関が強い指標を重くしている。自社の解約実績と突き合わせて配点を調整する。
スコア帯別のアクション設計
スコアは「見るため」ではなく「動くため」のものです。例えば、健全(緑)=四半期ごとのレビューと拡大提案、注意(黄)=利用低下の原因ヒアリングと活用支援を1ヶ月以内に実施、危険(赤)=マネージャー同席の面談を即設定、のように帯ごとの標準アクションと期限をあらかじめ決めておきます。
運用の失敗で多いのは、赤になってから動く「後手運用」です。赤は既に解約を決めた後であることが多く、黄色の段階(下降トレンドの検知)で介入することが、スコア運用の価値のほぼすべてと言われます。
帯ごとの標準アクションと期限を先に決めておく。赤は既に解約を決めた後のことが多く、黄色の段階で動けるかがスコア運用の分かれ目。