NRR計算ツール(売上維持率)
期初のMRRと増額・減額・解約の金額から、NRR(売上維持率)とGRRを計算する無料ツール。健全性の判定と「新規獲得ゼロでの1年後の売上見通し」まで自動で出るので、そのまま経営報告に使えます。
使い方
- 対象期間(年次または月次)を選ぶ
- 期初の既存顧客のMRR(月額課金の合計)を入力する
- 期間中の増額(アップセル)・減額(ダウングレード)・解約の金額を入力する
- NRR・GRRの判定と、1年後の既存売上見通しを確認する
目安: NRR100%以上=健全・110%以上=優秀、GRR90%以上=健全(根拠と計算式は下のガイド・FAQ参照)。入力値は外部に送信されません。
入力内容はブラウザ内だけで計算・保存され、サーバーには送信されません。「条件のURL」も入力値を#以降に載せるためサーバーへは送られませんが、URLを共有した相手は入力値を見られます。無料・登録不要で使えます。
こんな場面で使える
- 経営・投資家への報告NRR・GRRを毎回同じ基準で計算して月次・四半期報告に載せる
- CSチームのKPI設計解約率だけでなく、増額まで含めた維持率でチームの目標を立てる
- 大口解約・プラン改定の影響試算起きうる解約や値上げがNRRに与える影響を事前に確認する
計算式・仕組みと根拠
- NRR(%) = (期初MRR + 増額 − 減額 − 解約) ÷ 期初MRR × 100
- GRR(%) = (期初MRR − 減額 − 解約) ÷ 期初MRR × 100(増額を含めない維持率)
- 1年後の既存売上見通し = 年次は期初MRR×NRR、月次は期初MRR×NRRの12乗(同じ率が続く仮定)
- 根拠: NRR(Net Revenue Retention)とGRR(Gross Revenue Retention)は、新規獲得を除いた既存顧客の売上維持・拡大力を表すSaaS・サブスクリプションの標準指標です。判定の目安(NRR100%以上=健全、110%以上=優秀、GRR90%以上=健全)は、上場SaaS企業の開示や投資家評価で広く使われる水準です。
入力例と結果の読み方
年次を選び、期初MRR500万円・増額30万円・減額10万円・解約15万円と入力すると、NRR101.0%・GRR95.0%、1年後の既存売上見通しは505万円(+5万円)です。NRRが100%を超えているので「新規獲得がゼロでも既存顧客だけで売上が増える状態」=健全と読みます。GRR95.0%は毎年5%の売上が減額・解約で失われるという意味で、それを増額で補えている構図です。GRRが90%を下回る場合は、増額を伸ばす前にまず解約の穴をふさぐのが定石です。
よくある間違い
- 新規顧客の売上を期初MRRや増額に含めてしまう(NRRは期初時点の既存顧客だけで計算する)
- 年次と月次の数字を混ぜる(月次の解約額に年次のMRRを合わせる等。期間はそろえる)
- 導入支援費やスポット売上など、継続課金でない金額を含めてしまう
境界条件・注意点
- 期初MRRが空欄・0の場合は計算されません
- GRRは定義上100%を超えません(増額はNRRだけに反映されます)
- 1年後の見通しは「同じ率が続く」仮定の概算です。季節性や大口の更新月がある場合は実態とずれます
NRR・GRRの目安早見表(判定基準)
NRR(売上維持率)の判定は、上場SaaSの開示や投資家評価で広く使われる次の水準が基準になります。 上のツールの判定もこの区分で行っています。
| NRR | 評価 | 状態の意味 |
|---|---|---|
| 120%以上 | トップクラス | 拡大収益が非常に強い。米上場SaaSでも上位グループの水準 |
| 110〜120% | 優秀 | 投資家が「優良SaaS」と評価する目安ライン |
| 100〜110% | 健全 | 新規獲得がゼロでも、既存顧客だけで売上が維持・成長する |
| 90〜100% | 注意 | 流出超過。増額で補えておらず、既存売上は縮小に向かう |
| 90%未満 | 危険 | 解約・減額に構造的な問題。増額施策より流出対策が先 |
GRR(増額を含めない維持率)は90%以上が健全の目安です。大企業向けサービスなら95%以上、 中小企業向けでは80%台になることも珍しくありません。GRRは定義上100%を超えません。
月次NRRと年率換算の対応表
NRRは月次でも年次でも計算できますが、月次の値を年率にするときは12倍ではなく12乗で換算します。 月次ではわずかな差に見えても、年率では大きな差になります。
| 月次NRR | 年率換算 | 意味 |
|---|---|---|
| 99.0% | 88.6% | 1年で既存売上が1割強縮小する |
| 99.5% | 94.2% | 年6%弱の縮小 |
| 100.0% | 100.0% | 維持 |
| 100.5% | 106.2% | 年6%成長 |
| 101.0% | 112.7% | 年率では「優秀」ラインを超える |
| 102.0% | 126.8% | 年率ではトップクラスの水準 |
どの金額をどこに入れるか(集計の分類ルール)
実務で迷いやすいケースの分類です。毎回同じルールで集計することが、推移を比較できる条件になります。
| ケース | 分類 | 補足 |
|---|---|---|
| 上位プランへの移行・ユーザー数追加 | 増額 | 既存顧客の拡大(エクスパンション)の中心 |
| 値上げ(価格改定)による単価増 | 増額 | 集計には入れるが、実力による拡大とは分けて把握する |
| 下位プランへの変更 | 減額 | — |
| 契約終了 | 解約 | — |
| 一時停止・休眠 | 社内ルールで固定 | 解約扱いにするか対象外にするか、毎回同じ扱いにする |
| 期間中に獲得した新規顧客 | 含めない | NRRは期初にいた顧客のその後だけを追う |
| 導入支援費・スポット売上 | 含めない | 継続課金の金額だけで計算する |
経営報告の文例
今期のNRRは101.0%(前期99.2%)、GRRは95.0%でした。 解約▲3.0%・減額▲2.0%に対して増額+6.0%が上回り、既存顧客売上は維持成長の圏内です。 GRRは目安の90%を維持していますが、解約の約半分が「担当交代後の活用停止」に 集中しているため、来期はオンボーディングの再実施(3社)と、ヘルススコアで 警戒判定となった顧客(5社)への先回り対応を実施します。
数字は上のツールの「結果をコピー」で差し替えられます。NRR・GRRの数字に増減の内訳と 「次にやること」を添えるのが経営報告の型です。
計算式の背景とNRRを100%超に持っていく打ち手はNRR(売上維持率)の解説記事で、 指標の定義は用語集のNRR・GRRで解説しています。 解約側の影響を金額にするには解約率インパクト計算ツールが使えます。
よくある質問
NRR(売上維持率)はどうやって計算しますか?
NRR(%)=(期初MRR+増額−減額−解約)÷期初MRR×100で計算します。期初時点の既存顧客だけを対象にし、期間中の新規獲得は含めません。増額を含めないGRR(%)=(期初MRR−減額−解約)÷期初MRR×100も同時に計算します。
NRR・GRRの目安はどのくらいですか?
NRRは100%以上が健全、110%以上なら優秀とされ、上場SaaS企業の中央値はおおむね100〜110%です。GRRは90%以上が健全の目安ですが、中小企業向けサービスでは80%台も珍しくありません。NRRが100%を超えていれば、新規獲得がなくても既存顧客だけで売上が成長する状態です。
NRRと解約率(チャーンレート)はどう違いますか?
解約率は「失った売上・顧客」だけを見る指標、NRRは解約・減額で失った分とアップセルで増えた分を合算した「純額の維持率」です。解約率が同じでも、増額を作れているかどうかでNRRは大きく変わるため、CSの総合力はNRRのほうが正確に表せます。
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