相見積もりとは?
相見積もりとは、同じ条件で複数の会社から見積もりを取り、価格や内容を比較して発注先を決める購買手法のこと。「あいみつ」と略され、BtoBの購買では2〜3社から取るのが一般的です。
実務での使い方
買い手側は、仕様や前提条件を揃えて依頼しないと正しい比較になりません。売り手側は、相見積もりの有無・比較先・決定基準(価格重視か内容重視か)を早めに確認します。価格勝負に見えても、実際はサポート体制や納期が決め手になるケースが多くあります。
売り手として注意したいのは、発注先がほぼ決まっていて形式上取られるだけの「当て馬」の相見積もりです。決裁者に会えない・要件を教えてもらえない案件はその可能性が高く、深追いしない判断も重要です。安易な値引き対応は粗利率を大きく削ります。
相見積もりの「当て馬」とは?見分け方はある?
当て馬とは、本命の発注先がほぼ決まっているのに、社内手続きや価格交渉の材料として形式的に依頼される見積もりのこと。受注可能性が低い案件に提案工数を割くことになるため、営業側には見極めが重要です。
当て馬のサインとしては、①要件が本命他社の仕様に沿って細かく固まっている②こちらからの質問や訪問の機会が与えられない③納期・予算の情報が出てこない④決裁者に会わせてもらえない、などが挙げられます。逆に要件定義の段階から相談される相見積もりは、勝ち筋のある本命候補です。
相見積もりの依頼マナーと断り方
依頼側のマナーとしては、相見積もりであることを正直に伝える、各社に同じ条件(要件・納期・予算感)を提示する、決定後は落選した会社にも結果を連絡する、の3点が基本です。他社の見積書をそのまま見せて値下げを迫る行為は、信頼を失ううえ、内容によっては問題になり得ます。
営業側が辞退する場合は、「今回の要件では当社の強みを活かせないため」のように理由を添えて早めに断るのが得策です。無理に安値で受けるより、次の機会につながる誠実な辞退のほうが長期的な関係を保てます。
相見積もりの比較表はどう作る?(買い手向け)
比較の失敗は、金額の合計欄だけを並べることから始まります。各社の見積もりは前提条件・作業範囲・含まれるサポートが微妙に違うため、まず評価軸を決めてから、同じ枠に各社の条件を書き写して比較します。
評価軸は価格・要件適合・サポート・納期/体制・実績の5つが基本形です。発注前に「どの軸を重視するか」の重みを決めておくと、最後に価格だけで決めてしまい安かろう悪かろうを引く失敗を防げます。同一条件での依頼にはRFP(提案依頼書)の整備が近道で、当サイトのRFP作成ツール・RFI作成ツールでたたき台を、評価軸×重み付けの採点は比較表作成ツールで比較評価表を作れます。
相見積もり比較表の評価軸の基本形。評価軸と重みを先に決めてから見積もりを開くと、価格だけに引っ張られない。
見積書は金額以外のどこを比較する?
総額が同じでも中身は違います。チェックすべきは、①前提条件(データ移行・既存システム連携は含むか)②作業範囲(要件定義や教育・トレーニングは含むか)③初期費用と月額・保守費の内訳④追加費用の発生条件(仕様変更・出張・時間外対応)⑤契約条件(最低利用期間・解約条件・支払サイト)です。
特に「安い見積もり」は、範囲を狭く取って追加費用で回収する構造になっていることがあります。総額の差が大きいときほど、何が含まれていないかを確認してから比較します。
見積書の有効期限と前提の記載も見落とせません。「概算」と明記された金額は正式見積もりで変わり得ますし、為替や仕入れ価格に連動する条件が付いていることもあります。発注のタイミングが先になる案件では、金額が確定条件なのか概算なのかを先に確認しておくと、稟議のやり直しを防げます。
相見積もりで負けないために(売り手向け)
価格で並ばれたときの差別化は、提案の中身でしか作れません。要件の背景にある課題まで踏み込んだ提案、導入後の運用・定着支援の具体性、リスクの先回り(移行計画・体制図)は、価格差を正当化する材料になります。
相見積もりと分かった時点で「比較の評価軸」を買い手と一緒に作る動きも有効です。自社の強みが評価される軸(例:サポート体制)を比較表に載せてもらえれば、価格勝負から抜け出せます。値引きで対応する場合も、粗利率への影響を試算してから判断します。
相見積もりは何社から取るのが適切?
BtoBの購買では2〜3社が一般的です。1社だけでは価格・条件の妥当性を判断する材料がなく、社内の稟議でも「比較したのか」を問われます。逆に5社・6社と増やすと、依頼と比較の工数が膨らむうえ、受注確率の低さを察した各社の提案の本気度が下がり、かえって良い提案が集まりにくくなります。
実務では、事前調査で候補を絞り込んでから、本命+比較2社の3社程度に同一条件で依頼する形が効率的です。高額案件でより多くの選択肢を見たい場合は、RFIで広く情報収集して候補を絞る→RFPで2〜3社に絞って提案依頼、という2段階に分けると、工数を抑えながら比較の質を保てます。