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前年比・増減率は前年の実績との比較、達成率は目標との比較です。同じ売上でも、前年より伸びていながら目標には届かないことがあります。
達成率とは、実績を目標で割って進み具合を示す割合です。ここでは、金額が大きいほど目標に近づく売上を扱います。前年比は「前年を100とする比率」、増減率は「前年から何%増減したか」と区別します。
売上報告ではどう書き分ける?
前年同月800万円、当月920万円、当月目標1,000万円という架空の例で考えます。売上の対象範囲と集計方法は同じとします。
当月売上は920万円です。前年同月より120万円増え、増減率は+15%(前年を100とすると115%)。一方、目標1,000万円に対する達成率は92%で、80万円不足しています。
この報告なら「成長しているか」と「計画どおりか」が別々に伝わります。「前年比115%なので順調」とだけ書くと、未達が見えなくなります。
| 報告で答えたいこと | この例の計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 前年の何倍の売上か | 920 ÷ 800 × 100 | 前年比115% |
| 前年から何%増えたか | (920 − 800) ÷ 800 × 100 | 増減率+15% |
| 目標の何%まで届いたか | 920 ÷ 1,000 × 100 | 達成率92% |
| 前年よりいくら増えたか | 920 − 800 | 前年差+120万円 |
| 目標までいくら足りないか | 1,000 − 920 | 不足80万円 |
総務省統計局の用語解説も、増減率を「増減数を比較時点の値で割った割合」と説明しています。なお、消費者物価指数の公表のように「前年同月比」を上昇率の意味で用いる資料もあります。外部資料と比べるときは、見出しだけで判断せず計算式を確かめます。
前年800万円・今年920万円、または目標1,000万円・実績920万円を入力した状態で開きます。自分の数字に変えて、結果と報告用の文章を確認できます。
Excelの計算式は?
A2に前年売上800、B2に今年売上920、C2に目標1,000を入れます。単位はいずれも万円です。
| 結果を置くセル | 入れる式 | パーセント表示後 |
|---|---|---|
| D2:前年を100とする比率 | =B2/A2 |
115% |
| E2:増減率 | =(B2-A2)/A2 |
15% |
| F2:達成率 | =B2/C2 |
92% |
D2〜F2をパーセント表示に設定します。Microsoftの表示形式の説明のとおり、パーセント表示はセルの値を100倍して%記号を付けて表示します。D2に入る数値は1.15です。=B2/A2*100を入れてから%表示すると11,500%になるため、二重に100を掛けないようにします。
この表は、基準額が正で、入力がそろっている場合の式です。空欄を実績0と扱わず、未入力の行は集計から区別してください。前年や目標が0・負の値の場合は、後述する金額差での報告を使います。
報告を作る前の確認手順
- 期間と対象をそろえる。 月途中の実績を前年の月全体と比べるなら、その違いを明示します。同期間の比較ができるときは、双方を同じ締め日にそろえます。対象部署・商品、受注額か売上計上額かも固定します。CRMから抽出する場合も、日付項目と対象条件を記録します。
- 基準を選ぶ。 成長を知りたいなら前年、計画との距離を知りたいなら目標を使います。週の実績を月の目標で割った値は、月間目標に対する進捗であり、週目標の達成率ではありません。
- 元の金額を合計してから割る。 部署や商品の全体値を出すときは、率の平均から作りません。小数の丸めも最後に行います。
- 割合と金額差をセットで書く。 増減率15%だけでなく+120万円、達成率92%だけでなく不足80万円を添えると、追加で必要な売上が分かります。
営業週報全体の構成は営業週報の書き方、実績だけでなく今後の着地を見積もる方法は営業予測の考え方を参照してください。達成率だけで未達の原因までは特定できないため、商談数や受注率、平均注文単価などの指標へ分けて確認します。進行中の案件はパイプラインとして実績と分け、見込み額を確定した売上へ混ぜないようにします。
よくある計算・読み取りの失敗
部署ごとの増減率をそのまま平均する
架空の2部署で、A部署が前年100万円から150万円、B部署が900万円から945万円になったとします。
| 対象 | 前年売上 | 今年売上 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| A部署 | 100万円 | 150万円 | +50% |
| B部署 | 900万円 | 945万円 | +5% |
| 全体 | 1,000万円 | 1,095万円 | +9.5% |
(50%+5%)÷2=27.5%は、部署を同じ重みで見た平均です。全体の売上成長率ではありません。全体は(1,095−1,000)÷1,000×100=9.5%と、金額を合計して計算します。目標達成率も、部署別の実績合計を目標合計で割ります。
率の差を「%増」と呼ぶ
成約率が2%から3%に上がったとき、差は1ポイント、相対的な増加率は50%です。英国国家統計局の表記ガイドも、割合同士の差と割合の変化率を区別しています。
「1%改善」ではどちらの意味か曖昧です。「2%から3%へ、1ポイント上昇」と元の率を添えれば誤解を防げます。
前年0や赤字を、通常の成長率として割り算する
前年0万円から今年100万円になった場合、前年を分母にした比率は計算できません。「前年比0%」や「100%増」にせず、「前年0万円、今年100万円、前年差+100万円」と書きます。
前年−100万円から今年−50万円のように基準が負の場合、通常の式の符号だけでは改善・悪化を読み取りにくくなります。金額の変化を示し、通常の売上成長率と同じ意味では扱いません。コスト削減や対応時間短縮のように小さいほどよい指標にも、売上の「実績÷目標」をそのまま評価基準として当てはめないでください。
前年比だけで複数年の成長を説明する
前年比は2時点の比較です。複数年を年あたりの伸びへそろえる場合は、年平均成長率(CAGR)計算ツールで開始値・終了値・経過年数を指定します。CAGRも各年の実際の増減を再現する値ではないため、年ごとの変動は別に確認します。
よくある質問
前年比115%と15%増は同じ意味ですか?
前年を100とする比率であれば同じ変化を表します。ただし統計や資料によって前年比を増減率の意味で使う場合もあるため、式と基準を確認してください。
売上が前年比プラスなのに目標未達になるのはなぜですか?
比べる相手が違うためです。前年800万円、今年920万円、目標1,000万円なら15%増ですが、目標達成率は92%で80万円不足します。
前年比をExcelで計算するとき100を掛けますか?
結果セルをパーセント表示にするなら、今年の売上を前年の売上で割るだけです。さらに100を掛けると表示が100倍になります。