与信管理とは?
与信管理とは、取引先の支払能力を評価して取引の可否や上限額(与信限度額)を決め、継続的に見直す管理業務のこと。売掛金の回収不能(貸し倒れ)を防ぐため、掛け取引を行うすべての企業に必要な仕組みです。
実務での使い方
実務では、新規取引の前に信用調査会社の評点や決算情報を確認し、「この取引先には売掛金残高500万円まで」のように与信限度額を設定します。営業は受注前に与信枠を確認し、枠を超える場合は前払いへの変更や取引信用保険の活用などの条件を検討します。
注意点は、一度設定した与信を放置しないことです。支払遅延の発生や発注量の急変は信用悪化のシグナルで、定期的な見直しが欠かせません。大口受注ほど貸し倒れ時の打撃は大きく、「売上より回収」が原則です。支払サイトの長期化も与信リスクを高めます。
与信限度額はどう決める?
与信限度額は「この取引先には合計いくらまで売掛金を持ってよいか」の上限です。実務では、①自社の体力から見た上限(自己資本の一定割合まで)②相手の支払能力から見た上限(相手の純資産や仕入規模の一定割合)③取引の実需(月間取引額×支払サイト+安全余裕)の3つを算出し、最も小さい額を採用するのが定石です。
例えば月200万円の取引で支払サイトが60日なら、常時400万円強の売掛金が発生します。限度額はこれを下回らない範囲で、かつ相手の信用力に見合う水準に設定します。
新規取引時の与信チェックの実務フロー
新規取引の基本フローは、①登記情報・所在地・代表者の確認②信用調査会社(帝国データバンク・東京商工リサーチなど)の評点・調査報告書の取得③決算書があれば自己資本比率・借入依存度・支払遅延の有無を確認④初回は小口・短サイトで開始し、実績に応じて限度額を拡大、の順です。
運用面では「限度額を設定して終わり」が最大の失敗パターンです。支払遅延の発生、注文量の急増(押し込み仕入れの兆候)、代表者交代などのイベントで随時見直し、限度超過時は出荷を止める運用ルールまで決めて初めて機能します。