ROASとは?
ROASとは、広告費に対して何倍の売上が得られたかを示す指標のこと。「広告経由の売上÷広告費×100」で計算します。ROAS 400%なら、広告費1円あたり4円の売上が立ったことを意味します。
実務での使い方
注意すべきは、ROASは「売上」ベースであり利益を保証しない点です。粗利率30%の商品ならROAS 334%が損益分岐点で、それ未満は売れば売るほど赤字です。損益分岐ROASは「100÷粗利率(%)×100」で計算できます。
実務では、商材ごとに損益分岐ROASを算出し、その1.2〜1.5倍を目標ROASに設定します。ROASが高すぎる場合は配信を絞りすぎている可能性もあり、利益総額の最大化とROASのバランスを見て予算配分を調整します。
ROASとROI・CPAの違いは?
3つは測っているものが違います。ROASは「広告費に対する売上の倍率」、ROIは「投資に対する利益の割合」、CPAは「1件の成果獲得にかかった費用」です。たとえばROAS 500%でも、粗利率20%の商材なら利益はほぼゼロ(ROI 0%)です。売上ベースのROASだけで判断すると「売れているのに儲かっていない」を見逃します。
使い分けの目安は、日々の広告運用の調整はROASとCPA、事業としての投資判断はROIです。商材ごとに粗利率が違う場合は、目標ROASも商材ごとに設定する必要があります。
ROASの計算例と目標値の決め方
例: 広告費50万円で広告経由の売上が250万円なら、ROASは250万円÷50万円×100=500%です。この数字の良し悪しは粗利率で決まり、粗利率30%なら損益分岐ROASは100÷30×100≒334%。実務ではこの1.2〜1.5倍(約400〜500%)を目標ROASに設定し、下回る配信面やキーワードから停止・改善します。当サイトの損益分岐ROAS計算ツールを使えば、自社の粗利率でそのまま試算できます。
ROAS 400%は良い数字?粗利率別の損益分岐ROAS早見
「ROAS 400%」の評価は粗利率次第で正反対になります。損益分岐ROASは「100÷粗利率(%)×100」で機械的に求められ、粗利率50%なら200%が収支トントンのラインなので400%は十分な黒字、粗利率20%なら500%が分岐点なので400%は赤字です。
目標ROASは損益分岐点の1.2〜1.5倍に置くのが定石です(広告費以外の販管費や運用の人件費も回収する必要があるため)。逆に、目標を大きく超えるROASで安定しているなら、配信を絞りすぎている可能性を疑い、予算を増やして利益総額を伸ばす余地を検討します。
損益分岐ROAS=100÷粗利率(%)×100。同じROAS 400%でも、粗利率20%なら赤字・50%なら黒字になる。
ROASが低いときの改善策
ROAS=売上÷広告費なので、打ち手は分子(広告経由の売上)を増やすか、分母(広告費の無駄)を減らすかの2方向です。定番は、①成果の悪い配信面・キーワードの停止②CVRを上げるLP改善③客単価を上げる(セット販売・上位プラン誘導)④検索意図と広告文のズレ解消、の4つです。
見落とされがちなのが計測の問題です。計測タグの欠落・コンバージョンの重複計上・電話や店頭などオフライン成約の未反映があると、ROASは実態とずれます。改善施策の前に計測が正しいかを確認するのが、遠回りに見えて近道です。
自動入札で「目標ROAS」を使う場合は、急な目標変更に注意します。目標を一気に引き上げると配信が急減して学習が不安定になるため、段階的に調整しながら件数とROASの両方を観察するのが定石です。
リピート商材・サブスクのROASはどう見る?
サブスクリプションやリピート購入が前提の商材では、初回購入だけのROASで判断すると過小評価になります。初回ROASが150%でも、継続購入でLTVが初回の3倍になるなら、実質的な回収は十分成立している可能性があります。
この場合は「初回ROAS」と「LTVベースの回収期間」の2本立てで管理します。LTV×粗利率から許容CPAを逆算し、そこから実質的な目標ROASを設定すると、新規獲得の勢いと採算のバランスが取れます。
ROASとACoSの違いは?
ACoS(Advertising Cost of Sales)は、主にAmazon広告で使われる指標で、「広告費÷広告経由の売上×100」で計算します。ROASと分子・分母が逆の関係にあり、ROAS 400%はACoS 25%と同じ意味です。ACoSは「売上の何%を広告費に使ったか」を表すため、低いほど効率が良い、という読み方になります。
損益分岐の考え方も対称です。損益分岐ACoSは粗利率そのもの(粗利率30%ならACoS 30%が分岐点)で、ROASのときと同様に、目標値は分岐点より低めに設定します。媒体によって表示される指標が違うだけで、中身は同じ採算管理なので、社内のレポートではどちらかに揃えて比較すると混乱がありません。