GLOSSARY

CAC(顧客獲得コスト)とは?

CACとは、新規顧客を1人(1社)獲得するのにかかった費用の合計のこと。広告費だけでなく、営業・マーケティングの人件費や制作費も含めて「期間中の獲得関連費用÷新規獲得顧客数」で計算します。

実務での使い方

CPAとの違いは範囲です。CPAは広告経由のコンバージョン単価を指すことが多いのに対し、CACは人件費まで含めた「獲得の総コスト」です。営業主体のBtoBでは人件費がCACの過半を占めることも珍しくありません。

健全性はLTVとの比率で判断します。LTV/CACが3以上、CACの回収期間(CAC÷月次粗利)が12ヶ月以内がSaaSの目安です。CACが重い場合は、獲得チャネルの見直しより先に、受注率・商談化率の改善(同じ費用で獲得数を増やす)を検討する方が効果的なことが多いです。

CACの計算例 — どこまで費用に含める?

例: ある四半期にマーケティング費用300万円(広告200万円+制作・ツール100万円)と新規営業の人件費450万円をかけて、新規顧客を15社獲得した場合、CACは(300万円+450万円)÷15社=50万円です。広告費だけで計算すると20万円となり、実態の半分以下に見えてしまいます。

含める範囲は「新規獲得のために使った費用すべて」が原則です。広告費・制作費・ツール費・イベント費に加えて、マーケティング担当と新規開拓営業の人件費(既存顧客の対応分は除いて按分)まで入れます。範囲を一度決めたら毎期同じ基準で計測し、単月の絶対値ではなく推移で見ることが重要です。

LTV/CAC比「3以上」の目安はどう使う?

SaaSではLTV/CAC比が3以上、CACの回収期間が12ヶ月以内が健全性の目安とされます。3を大きく下回る場合は獲得コストか解約率に問題があるサイン、逆に5〜6を大きく超える場合は「投資を絞りすぎて成長機会を逃していないか」を疑うのが一般的な読み方です。

ただし「3」は米国SaaSの経験則で、粗利率や解約率の前提によって適正値は変わります。目安として使いつつ、実務ではCACの回収期間(CAC÷顧客あたり月次粗利)を主指標にする方が、資金繰りと直結して判断しやすくなります。

SaaSの顧客獲得コストの相場は?絶対値より比率で判断

「CACの相場はいくらか」という質問には、実は一般解がありません。商材単価・対象企業の規模・チャネル(広告中心か営業中心か)で桁が変わるためです。中小企業向けで数万〜数十万円、大企業向けの高額商材では数百万円になることも珍しくなく、他社との絶対値の比較にはあまり意味がありません。

実務の判断基準は自社のLTVとの比率です。LTV/CAC 3以上・回収期間12ヶ月以内という広く使われる目安に照らして、自社のCACが「高すぎるのか、それとも投資不足なのか」を判定します。例えばCAC 50万円は、LTVが150万円なら健全(3.0倍)、90万円なら要改善(1.8倍)です。

LTV150万円
CAC50万円

この例ではLTV/CAC=3.0倍。3以上が健全の目安とされ、CACの回収期間(CAC÷月次粗利)12ヶ月以内という基準が併用される。

CACを下げる4つの方法

①転換率の改善:同じ費用でも商談化率・受注率が上がれば獲得数(分母)が増えてCACは下がります。多くの場合、チャネルの追加より先に効きます。②紹介・オーガニック比率の向上:紹介制度・コンテンツ資産(SEO)・コミュニティは、費用が積み上がりにくい獲得チャネルです。

③営業効率の改善:商談あたりの工数削減(オンライン商談・提案書のテンプレート化)は、人件費由来のCACを直接下げます。④ターゲットの絞り込み:受注率・継続率の高いセグメントに集中すると、無駄な獲得コストが減り、同時にLTV側も改善します。

ブレンデッドCACとチャネル別CACの使い分け

全チャネル合算で計算する「ブレンデッドCAC」は事業全体の健全性を見る指標、広告費だけで計算する「ペイドCAC」やチャネル別CACは投資配分を決める指標です。紹介やオーガニック獲得が多いとブレンデッドCACは低く出るため、広告投資の判断をブレンデッドだけで行うと過大投資になりがちです。

実務では、月次でブレンデッドCACとLTV比を定点観測しつつ、チャネル別CACで「どこに追加投資するか」を判断する2段構えが型です。

CACの回収期間の計算例

回収期間は「CAC÷顧客1社あたりの月次粗利」で求めます。CACが50万円で、月額10万円・粗利率50%(月次粗利5万円)の顧客なら、回収期間は50万円÷5万円=10ヶ月。11ヶ月目からがようやく利益貢献です。回収前に解約されると獲得コストが未回収のまま損失になるため、解約率とセットで見る必要があります。

12ヶ月以内が目安とされるのは、回収が長引くほど先行投資の資金負担が重くなり、成長のための獲得投資を続けられなくなるためです。回収期間が長い場合は、CACを下げる施策と並行して、初年度の単価を上げる(年間契約・初期費用の設定)方向も検討します。当サイトのLTV/CAC計算ツールで、自社の数字を入れた試算ができます。

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最終更新: ・ 作成:Digital Sales 編集部

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