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TAM・SAM・SOMの計算方法|企業数と単価から市場規模を出す

目次

TAM・SAM・SOMは、対象企業数と年間単価から全体を計算し、提供条件と獲得能力で順に絞ると、計算過程を説明できます。BtoBでは企業数の数え方をそろえ、SOMの獲得期間と金額の単位を明記することが重要です。

TAM・SAM・SOMとは、市場を「対象全体」「自社が提供できる範囲」「一定期間に獲得を見込む範囲」に分けて捉える指標です。

本記事では、1社ごとに課金する SaaS を想定し、月額単価を年額へ換算する計算を扱います。GTM戦略全体の設計に対し、ここでは市場の数字と、その根拠の残し方に絞ります。

TAM・SAM・SOMの計算式と具体例

以下はすべて計算方法を示す仮定値です。50,000社は公開統計から取得した実数ではありません。単価は全顧客で共通、SOMはこれから1年間の新規獲得契約の年換算額とします。

項目 この例での計算 結果
年間単価 月額50,000円×12か月 600,000円/社
TAM:対象全体 50,000社×600,000円 300億円/年
SAM:提供可能範囲 20,000社×600,000円 120億円/年
新規獲得の想定 営業5人×1人あたり年24社 120社
SOM:獲得契約の年換算額 120社×600,000円 7,200万円/年

SAMの20,000社は、TAMの50,000社の40%です。SOMの7,200万円は、SAMの120億円の0.6%に当たります。ただし、0.6%という小さな割合だけでは、120社の獲得が実現可能かは分かりません。

SOMと初年度の売上は同じ?

この計算で出した7,200万円は、120社すべてが12か月利用した場合の年換算額です。仮に全120社が10月から利用を始め、12月までの3か月分を売上とするなら、その年の金額は120社×月額5万円×3か月=1,800万円になります。

また、営業人数×新規成約件数だけでは既存顧客や解約を扱えません。MRR・ARRの計画や既存事業の規模を示すときは、対象期間末の継続顧客と新規・解約の扱いを別に整理します。SOMを3年後の見込みとして使う場合も、3年間の売上合計なのか、3年後の年換算額なのかを明記します。

無料ツール 企業数・単価・営業人数から3つの市場規模を試算

例ボタン「中小企業向けSaaS(営業5人)」で、上の300億円・120億円・7,200万円を再現できます。計算式と報告用の下書きも確認できます。

例に入る業界レポートの金額も仮定値です。自社の出典・対象年・提供条件に置き換えてください。

企業数はどこで調べる?出典を再現できる形で残す

日本の企業数を調べる入口には、e-Statの令和3年経済センサス‐活動調査「企業等数、従業者数」があります。「企業産業(小分類)、経営組織(3区分)、企業常用雇用者規模(11区分)別企業等数、事業所数、男女別従業者数及び常用雇用者数-全国、都道府県、大都市」の表は、業種・規模・地域を指定して調べる候補になります。

これは2021年の調査です。現在の企業数と同一とはみなさず、利用時点で公表されている調査の範囲・時点も比較します。新しい年の別統計があっても、対象や分類が異なれば、そのまま置き換えられるとは限りません。

次の表の「取得条件」を埋めると、同僚が同じ数字を探せる記録になります。条件の例であり、実測済みの企業数を示す表ではありません。

記録する項目 取得条件の記入例 確認すること
統計・対象年 令和3年経済センサス‐活動調査 公表年と調査年を混同しない
表 企業産業・経営組織・企業常用雇用者規模別の表 表番号・URL・取得日を保存
業種 販売対象の産業分類を選択 自社の業種ではなく顧客側の業種
経営組織 会社企業 個人経営などを含めるか
規模 企業常用雇用者規模の対象区分 社員数という独自定義へ置き換えない
地域 全国、または対応可能な地域 本社所在地と店舗所在地を区別
数える項目 企業等数 事業所数・従業者数を選んでいないか
取得した値 確認後に記入 単位、秘匿・欠損の記号、重複加算を確認

1社が5拠点を持つ場合、1社契約の商品に5拠点分の年間単価を掛けると、市場規模を過大に見積もります。逆に店舗単位の商品なら、企業数だけでは対象を取りこぼす可能性があります。統計の項目は、販売する商品の契約単位から選びます。

SAMの絞り込みは、根拠のある条件から行う

SAMは、地域、対応業種、必要な設備、連携するシステムなど、現在の製品と提供体制で対応できる範囲です。顧客像はペルソナで整理できますが、「興味がありそうな40%」という印象だけを社数に掛けないようにします。

例えば全国50,000社のうち、対応する地域・業種・規模の条件をすべて満たす企業が20,000社なら、SAMの割合は40%です。「地域40%」「業種50%」を別々の資料から取り、独立と確認せず掛けると、重なりを誤って扱うことがあります。できるだけ同じ集計表で複数条件を絞り込み、取得できない条件は未確認の仮定として分けます。

企業によって価格が違う場合は、SAM全体に同じ単価を掛けず、「小規模企業の社数×小規模プラン年額」+「中規模企業の社数×中規模プラン年額」のように、重複しない区分ごとに足します。

SOMを営業の件数で裏づける手順

  1. 獲得期間を決める。例えば今後12か月の新規契約とし、更新契約を混ぜません。
  2. 担当者の稼働を置く。採用予定を含むなら、入社時点と立ち上がり期間を反映します。最初から5人全員が12か月稼働できるかを確認します。
  3. 1人あたりの成約件数を分解する。仮に年120件の商談×受注率20%なら年24件です。この件数と率を過去の実績や試験販売で確かめます。
  4. 販売後の提供能力を確認する。営業が120社を獲得できても、導入支援が年80社までなら、提供時期を見直す必要があります。
  5. SAMと照合する。獲得対象がSAMに含まれることを確認し、超過したら社数・範囲・重複契約を見直します。ツールはSAMを上限にしますが、上限への置き換え自体が根拠にはなりません。

同じ営業5人・年間単価60万円でも、1人あたりの成約件数を変えると試算は次のようになります。これも予測ではなく、仮定の影響を見る比較です。

1人あたり年間成約 5人での新規契約数 獲得契約の年換算額 SAM 120億円に対する割合
12社 60社 3,600万円 0.3%
24社 120社 7,200万円 0.6%
36社 180社 1億800万円 0.9%

よくある失敗:大きな市場の数字で前提を隠す

業界総額をそのままTAMにすると、自社の提供対象でない商品や海外の売上まで混ざることがあります。業界レポートと積み上げの金額に差が出たら、対象地域、商品範囲、対象年、年間単価を照合します。差が20%以内などの数字だけで正しいとは判定できません。

SAMの1%をSOMにするだけでは、必要な商談や提供能力が分かりません。割合から置いた目標を使う場合も、「必要契約数=SOM÷年間単価」で件数に戻し、実行できるかを確認します。

出典欄に統計名だけを書くと、同じ値を再取得できません。使用した表、選択条件、単位、調査年、取得日を残し、統計で確認した部分と自社の仮定を分けます。

報告時は「対象企業数・単価・提供条件・獲得期間・成約件数の根拠」の5点を金額の隣に添えてください。獲得計画を動かす段階では、必要な商談とパイプラインへ落とし込みます。

よくある質問

TAM・SAM・SOMはどう計算しますか?

単価を一定とするBtoBの例では、TAMは対象企業数×年間単価、SAMは提供可能な企業数×年間単価です。SOMは期間を決め、営業と提供体制から獲得可能な顧客数を見積もって年間単価を掛けます。

SOMはSAMの何%にすればよいですか?

割合だけで決めず、獲得件数の根拠を先に置きます。営業人数・商談数・受注率・導入支援の能力から試算し、その結果がSAMの何%かを確認します。

企業数と事業所数のどちらを使いますか?

契約・課金の単位に合わせます。1社1契約のサービスは企業数、店舗ごとに契約するサービスは店舗や事業所の数を候補にし、本社一括契約などの例外を確認します。