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展示会の費用対効果の計算方法|ROI・必要受注数と報告例

目次

展示会の費用対効果は、受注粗利から出展総費用を引き、その差額を出展総費用で割ると、費用回収まで含めて判断できます。この式によるROIは0%が回収の境目で、商談中の見込売上や名刺枚数だけでは回収済みと判定しません。

展示会ROIとは、展示会に投じた費用に対する、対象案件の粗利から出展費用を差し引いた利益の割合です。本記事ではBtoBの新規案件獲得を対象にし、認知拡大や既存顧客との関係強化の成果とは分けて扱います。

無料ツール 出展費用を回収できたか計算する

出展費用・獲得企業数・商談化・受注粗利から、回収までの不足額と各段階の単価を計算。出展前の必要企業数の逆算と報告文のコピーにも対応しています。

ROIの0%と100%は何が違う?

本記事と計算ツールでは、次の式を使います。金額は税抜でそろえ、出展総費用は0円より大きいことが前提です。

ROI(%)=(受注粗利合計−出展総費用)÷出展総費用×100

受注粗利は、対象契約の売上から商品・サービスの提供原価を引いた金額です。出展総費用をまだ引いていない金額を使います。会計上の利益から既に展示会費用を控除している場合、さらに同じ費用を引くと二重控除になります。

たとえば出展総費用200万円、受注粗利300万円なら、差額100万円、ROIは50%です。粗利が費用の1.5倍になっていることと、ROIが50%であることは両立します。

表し方 200万円投資・粗利300万円の例
差引利益 300万円−200万円=100万円
ROI 100万円÷200万円×100=50%
粗利による回収率 300万円÷200万円×100=150%

「費用対効果150%」のように指標名と式を省くと、どの計算なのか分かりません。報告書には、ROIか回収率か、売上か粗利かを明記します。

計算前に決める費用と成果の範囲

出展料だけでなく、準備・追客の費用を含める

出展料に加え、施工、輸送、出張、販促物、社内担当者や外部スタッフの費用を集めます。CventのイベントROI解説でも、請求書に現れる直接費用と、給与・共通資源などの間接費用を区別しています。

社内人件費は、会社で定めた時間単価と対象業務の時間で配賦します。架空の例として、準備・会期中・追客の合計100時間、時間単価3,000円なら30万円です。外注費に含まれた同じ作業を、別の費用欄にも加えないようにします。

以下は計算ツールの「商談を追跡中」で試せる架空の費用です。

費用項目 金額
出展料・小間代 60万円
ブース施工・装飾 70万円
運搬・交通・宿泊 20万円
社内人件費・外部スタッフ 30万円
販促物・その他 20万円
合計 200万円

追客が続く間は、その追加工数も費用に反映します。複数回使う展示物などは、社内で決めた配賦方法を比較する展示会間で統一します。

同じ企業群を商談・受注まで追う

リード獲得の実績を名刺の枚数で管理していても、本記事の計算では企業単位にまとめます。同じ企業の担当者3人と交換した名刺3枚は1社です。獲得企業のうち何社が商談になり、そのうち何社が受注したかを追います。

CRMには、少なくとも企業ID、展示会名、商談化日、受注日、対象契約の粗利を残します。展示会前から進んでいた案件は「既存案件への接点」として別集計にし、新規創出案件の実績へ混ぜません。複数施策を経た受注をどの施策へ配分するかも、集計前に決めます。Cventも売上の帰属には複数のモデルがあり、社内で適した方法を決める必要があると説明しています。

この区分は、展示会が売上を増やした因果効果を証明するものではありません。比較・報告のために成果の計上範囲をそろえる方法です。

出展費用200万円・受注粗利120万円の計算例

同じ架空の展示会で、獲得200社、商談化40社、受注4社、受注粗利120万円とします。商談化は「課題と次回の具体的な打ち合わせが合意された企業」など、自社で定義をそろえて数えます。

指標 計算結果
企業獲得単価 200万円÷200社=1万円/社
商談化単価 200万円÷40社=5万円/社
受注単価 200万円÷4社=50万円/社
商談化率 40社÷200社×100=20%
商談企業からの受注率 4社÷40社×100=10%
粗利による回収不足額 200万円−120万円=80万円
ROI (120万円−200万円)÷200万円×100=−40%

これらは業界平均ではなく、式を確認するための仮定値です。CPAという略称だけで報告すると、名刺獲得と受注のどちらを成果としたかが曖昧になるため、「企業獲得単価」「受注単価」と書き分けます。受注率も分母が獲得企業か商談企業かで数値が変わります。

進行中のパイプラインは別欄に残し、まだ受注していない案件の粗利を120万円に足しません。

出展前に必要な受注数を逆算するには?

費用200万円、受注1社あたり粗利30万円、商談企業からの受注率20%、獲得企業からの商談化率20%を仮定します。前節の実績受注率10%とは別の計画条件です。実際の計画には、自社の類似展示会や対象顧客層の実績を使います。

  1. 必要受注数を計算する。 200万円÷30万円=6.67社なので、端数を切り上げて7社です。
  2. 必要商談数を求める。 7社÷0.20=35社です。
  3. 必要獲得企業数に戻す。 35社÷0.20=175社です。
  4. 現場で達成可能か確認する。 接客できる人数・時間・来場者との適合を確認し、難しければ費用や対象、出展方法を再検討します。

各段階で切り上げるのは、企業数を整数で計画するためです。175社集めれば必ず7社受注するという保証ではありません。率を20%から10%へ下げるなど、前提が外れた場合も試算します。費用を削る場合も、接客や追客の不足で商談化率が下がらないかを同時に確認します。

測定日を付けた社内報告の書き方

次は架空の報告例です。「実績」と「未確定」を分け、次回の判断に必要な情報を残します。

開催終了30日後の時点で、出展費用200万円、獲得200社、商談化40社、受注4社。初回契約分の受注粗利は120万円で、費用回収まで80万円不足、ROIは−40%です。更新契約と開催前から進行していた案件は除外しています。進行中の商談は粗利実績に含めず、終了60日後に費用と受注実績を更新します。

30日・60日はこの例の測定時点です。全社共通の推奨期間ではありません。自社の受注までの期間に合わせて見直し日を置き、別の展示会と比べる場合は終了からの経過期間をそろえます。

よくある失敗と見直す順番

  • 名刺の増加だけで成功とする。 企業獲得単価が下がっても商談化単価が上がるなら、対象顧客との適合や商談化条件を確認します。
  • 売上で費用を回収したと判断する。 提供原価を引いた粗利を使い、出展費用の二重控除も確認します。
  • 開催直後の未受注を最終結果にする。 現時点の未回収は報告したうえで、残る商談と次回測定日を示します。
  • 施策間で同じ受注を全額ずつ計上する。 新規創出と既存案件への貢献を分け、社内の帰属ルールを統一します。

獲得企業の数より前に、対象顧客とオファーを見直したい場合はリード獲得の設計へ、商談の進み方を整理したい場合は営業パイプライン管理へ進んでください。

よくある質問

展示会のROIは何%なら費用を回収できていますか?

本記事の式「(受注粗利−出展費用)÷出展費用×100」では0%が費用回収の境目です。粗利÷費用×100で表す回収率なら100%が境目になるため、式と数値をセットで確認します。

展示会の効果測定はいつ行えばよいですか?

開催直後は獲得企業数や追客状況を確認し、商談化・受注は自社の商談期間に合わせて追跡します。比較する展示会同士は終了後の経過期間をそろえ、測定日と対象契約を記録します。

受注ゼロの展示会は失敗ですか?

受注粗利ゼロなら、測定時点の粗利による費用回収はできていません。ただし開催直後で商談が進行中の場合や、認知・既存顧客との関係強化が目的の場合は、その事実だけで出展全体の成否を決めません。