ゼロパーティデータとは?
近年ゼロパーティデータという聞き慣れない言葉が、少しずつ広まりはじめました。
・0 party data
・Zero Party Data
人によって表記はまちまちですが、1st Party Dataや2nd Party Dataの親戚であることは察しがつくことでしょう。
きちんと同意を得たデータ
ゼロパーティデータとは、簡単に言うと個人からきちんと同意を得たデータであると言いかえることができます。
つまり、行動履歴やプロフィールから推測したデータではなく、個人から意図的に提供されたデータなので非常に正確なデータです。
マーケティングに利用するのに、これほど利用価値が高くクリーンなデータはありません。
・本人が意図的に提供しているのでデータが正確
要は、企業がこれまで行ってきたマーケティングの不透明な部分を取り除いた、これからの時代にふさわしいデータがゼロパーティデータであると言えます。
どんな取得方法がある?
ゼロパーティデータの取得方法のイメージとしては、下記のように個人が何らかの対価を得る代わりに提供するパターンが多い傾向です。
・クイズへの回答
・企画やコンテストへの参加
・セミナー申し込み
・資料ダウンロード
・会員サイトでのプロフィール入力
例えば、プレゼントへ応募するために、自分のプロフィールや、興味関心の情報を入力した事はありませんでしょうか?
そこで、マーケティング活動への利用に関する同意を行えば、それはゼロパーティデータとなります。
同意は明確に取る
同意のとり方で、絶対読めないだろという長い約款をスクロールして同意を取る方法がありますが、それはゼロパーティデータとは言い難いでしょう。
ゼロパーティデータの定義は、きちんと同意を得たデータであると述べたように、同意の取得時も明確で、個人を騙すように取得するデータであってはいけません。
個人側の視点で言うと、自分が提供したデータがマーケティングに利用される事が理解できた上で差し出すのがゼロパーティデータです。
ファーストパーティデータとの違いは?
マーケティングに明るい方ならば、ここまでの説明でファーストパーティデータ(1st Party Data)と何が違うの?と疑問を持った方も多いでしょう。
ファーストパーティデータとは
ファーストパーティデータ(1st Party Data)とは、自社のチャネルで収集するデータを指します。
・自社WEBサイトの閲覧履歴
・自社ECでの商品の購買履歴
・自社アプリの利用ログ
1st party data(ファーストパーティデータ)とは、自社が収集したデータを指します。自社が使えるあらゆるチャネ…
同意の取れた1st Party Data

2nd Party Dataとは?
2nd Party Data(セカンドパーティデータ)との違いについても言及しておきます。
他社から購入したデータの事を2nd Party Dataと呼びます。同時にそのデータは他社のファーストパーティデータであるとも言えます。
例えば、TポイントやPontaポイントを運営する会社は、会員情報をカテゴライズし他社に販売しています。
そのような企業からデータを購入し、自社のマーケティングに活かす方法が、2nd Party Dataを活用したマーケティングとなります。
さらに詳しくはこちら
セカンドパーティデータとは、他社から得たファーストパーティデータを指します。データ販売プラットフォーム等を介してデータを…
3rd Party Dataとは?
続いて3rd Party Data(サードパーティデータ)とは、自社以外の企業が収集、保有するデータを総称した言葉です。
例えば、Googleの広告を出稿しようとすると、ターゲティングという項目から、広告を出したいターゲットが選定できます。
これは、Googleが様々なユーザーのWEB上の行動をトラッキングして収集してるデータに基づいてカテゴライズされています。
この場合広告主は、自社のデータ(1st Party Data)以外の、Googleのデータ(3rd Party Data)を使って、ターゲティング広告を出稿していると表現できます。
なぜゼロパーティデータが必要?
GDPRの影響
単純に精度が高い
・提供データ:〇〇に興味がある
ゼロパーティデータを大量に取れる者が勝つ
ここまでの説明で、ゼロパーティデータが素晴らしいものであると感じるかもしれませんが、不利な面もあります。
それは、データを大量に取得するのが難しいという点です。例えば、WEBサイトに訪れた人が100人いても、自らデータを入力してくれるのは3人ほどでしょう。
そうなると、ファーストパーティデータは100ですが、ゼロパーティデータは3です。
いかに熱狂させられるか
ファーストパーティデータを取るには、いかに個人を熱狂させられるかがポイントとなります。
つまり、自分の個人情報を提供しても良いと思える程、魅力的な対価やロイヤリティを提供できるかが、データの取得量に比例するのです。
例えば、ディズニーの熱狂的なファンは、キャラクターグッズが無料で貰えるキャンペーンなら、喜んで好きなキャラクターの情報を差し出すでしょう。
マーケターは、今後そのファンが好きなキャラクターの情報を中心に発信する事ができます。
価値の高いデータは最強の経営資産
ゼロパーティデータのような、価値の高いデータは、21世紀のデジタル社会で最強の経営資産であると言えます。
つまり、このゼロパーティデータを、どれだけ多く集められるかの熾烈な戦いが既に始まっているのです。
多くの企業は、顧客情報として、既に取引のある相手のゼロパーティデータは保有しているので、これから重要になるのは、顧客になる前の個人からどれだけゼロパーティデータを取れるかです。
テレビCMのような、無作為で個人データの取れないマーケティングメッセージの価値は益々落ち込んでいくでしょう。
デジタル広告が変わる
デジタル広告は、まさに推測データでのターゲティングを得意としてきたテクノロジーです。
つまり、GDPRで規制されるような、同意の取れていないデータを中心にターゲティングを行ってきただけに、おおきく変わらざるを得ないでしょう。
今後、メディアが積極的に個人からデータ提供に対する同意を取得する為の施策を展開すると考えられます。
デジタル広告の仕組みや代表的なメディアについては下記にまとめています
インターネット広告(デジタル広告)を学ぶポイント3点を徹底解説。リスティング広告、SNS広告、YouTube広告などをタ…
まとめ
ゼロパーティデータという難しい言葉で考えずとも、推測データと提供データの考え方は日常に無数にあります。
相手に絶対喜ばれるプレゼントをあげたいなら、行動から推測するプレゼントより、本人が欲しいと言っている物をあげる方が確実です。
そのデータをいかにクリーンに取得できるかが、デジタル社会の大きな論点になるでしょう。