営業職の生産性
少子高齢化による、働く人口の現象により、日本ではより生産性の高い働き方が求められています。
特に、非効率な動きが多いとされる営業職は、最も生産性の向上が必要とされている職種です。
そんな、営業活動の生産性を上げる取り組みとして、今注目を集めているのが内勤営業やインサイドセールスという職種です。
内勤営業をただのテレアポ部隊だと思ってはいけません。
内勤営業をうまく活用すれば、営業の生産性を大きく向上させることができます。
- 確度の高いアプローチ先の見極め
- 大量アプローチ
- 無駄な訪問の削減
- 次世代の育成
等など、内勤営業を取り入れるメリットは多岐にわたります。今回はそんな内勤営業について詳しくご紹介します。
内勤営業とは
内勤営業とは、顧客先には出ず「電話」「メール」「WEB会議」等のツールを使い社内からアプローチする営業です。
インサイドセールスという呼び方も、昨今では一般化してきました。
この「内勤営業」の考え方自体は昔から存在し、テレアポ部隊として電話帳片手にひたすら電話をかけるブラックなイメージを持っている方も多いでしょう。
しかし、昨今注目されている内勤営業は、そういった昭和的アプローチではなく、営業の生産性向上を目的とした新しい職種へと変わりつつあります。
内勤営業が活躍できる条件
だたし、どんな業種でも内勤営業が有効という訳ではありません。
内勤営業は、営業が訪問しきれない数の見込み顧客が存在する場合にのみ効力を発揮します。
ここで言う見込み顧客とは、自社の製品を買ってくれる可能性のある顧客(=ターゲット)です。
既存顧客も新規顧客も含めて、今後営業をかければ買ってくれる可能性がある顧客を指します。
内勤営業の仕事の流れ
内勤営業の仕事は大きく分類すると下記2つです。
- ターゲティング
- 初回アプローチ
ターゲティング
まずは、内勤営業がどの顧客にアプローチをするかのターゲティングを行います。
- 開催したセミナーの来場者
- 過去に名刺交換をした人
- HPの閲覧者
- HPからの問い合わせ者
- 人事情報が出たすぐの人
- 新聞・WEBのメディアに掲載された人
- 既存顧客で、買い替えタイミングの顧客
等など、アプローチ先は様々です。これらに闇雲に訪問していては、何人営業がいても手が足りません。
そんな時に、内勤営業を配置し、訪問せずになるべく多くのアプローチ先に対して活動を行います。
この様な反響に対して営業を行う、反響営業は非常に効率が良いと言えるでしょう。
反響営業についてはこちら
反響営業と飛び込み営業の違いを徹底解説。問い合わせや資料請求をベースに、興味のある顧客に対する営業(接客)をする反響営業…
初回アプローチ
上記でアプローチするターゲットを決めたら、早速初回のアプローチを行います。
アプローチ方法としては主に下記のようなツールを活用します。
- 電話
- メール
- WEB会議
- 手紙
- SNS
ビジネスで使える、訪問以外のアプローチ手法を活用し、効率的かつ大量に初回アプローチを行います。
アプローチした結果、さらに営業活動が必要、進展する可能性があると判断した見込み顧客を、営業に引き継ぎます。
つまり、内勤営業が今後もその顧客に接触する「価値」があるかの見極めを行います。
仕事の流れ
上記で説明した、内勤営業の仕事の流れを図示すると下記の様になります。
本来一人の営業が実施していた、ターゲティングから初回訪問、案件の見極めという物量が必要なフェーズを内勤営業が巻き取り生産性を向上させます。
見込み顧客の育成
実は、今すぐ買わない見込み顧客も「見込みナシ」と「育成」に分類することができます。
育成となった顧客は、今すぐでは無いがもう少し情報を与えれば購入する見込みに育つ可能性があると言えます。
定期的な情報提供や、イベントへの参加促進などにより、リストを捨てるのではなく育てるという役割も内勤営業の大きな強みです。
次世代の育成
内勤営業を設けるメリットは、営業の生産性向上だけではありません。
内勤営業を通して、次世代の営業を育てるという事も可能です。
内勤営業は、その職業上物理的に多数のアプローチを行う必要があり、多くの場数を踏むことができます。
ただし、初回アプローチなのである程度テンプレート的な営業活動が可能なので、難易度は低いでしょう。
つまり、簡単な提案をたくさんこなして、営業としての基礎を身に着けた後、営業に転身するという育成ルートです。
内勤営業100%
昨今は、内勤営業が100%の企業も存在します。
近年盛り上がりを見せているSaaS系企業などで特に見られる傾向です。
SaaSの様なオンライン上で申し込み・契約まで完結するサービスであれば、内勤営業が最後のひと押しをするだけで完結します。
内勤営業を基本として設計できるビジネスであれば、非常に効率的にビジネスを伸ばすことが出来るでしょう。
ただし、商材自体は比較的少額である必要があります。
高額商品に関しては、内勤営業100%で売り切るというビジネスは難しいでしょう。
KPIの設計と見直しが肝
内勤営業に取り組む場合、内勤営業のKPIを明確に設定する必要があります。
営業と違い、売上の数字が見えにくい為、営業サイドからの声を反映したKPI設計と、定期的な見直しが必要です。
例えば、下記のような指標が代表的です。
- 活動数
- 営業への引き継ぎ数
- 引き継ぎからの商談化数
- 商談化した案件の決定率
- 商談決定率(内勤100%の場合)
まとめ
改めて、内勤営業を導入すると得られる価値は下記です。
- アプローチ先の見極め
- 大量アプローチ
- 無駄な訪問の削減
- 次世代の育成
労働人口は減り、残業等の規制も厳しくなる一方です。
さらなる売上を上げるためには「生産性の向上」が必須となるので、内勤営業も必ずその一つの手段として広がっていくでしょう。