アマゾンがアレクサの新サービスを発表
Amazonが、自社の音声アシスタントAlexa(アレクサ)の人工知能の機能を元に、企業が独自の音声アシスタントを開発できるサービス「Alexa Custom Assistant(アマゾンカスタムアシスタント)」を発表しました。
このサービスを利用すると、企業はAlexaの技術をベースに音声アシスタントを開発できる事に加えて、Alexaとの連携も可能になります。
想定されるアマゾンの戦略と世界
このAlexa Custom Assistant(アマゾンカスタムアシスタント)の発表は、今後世界にとてつもなく大きな影響を与えるでしょう。
なぜなら、アマゾンが音声アシスタント市場で完全に王手をかけに来ているからです。
アマゾンのプラットフォーム戦略
まずは、自社で圧倒的なプロダクトを作り、一段落したらそれを外部に展開していくアマゾンの優れたプラットフォーム戦略です。
代表的なもので言えば、アマゾンマーケットプレイスや、アマゾンウェブサービス(AWS)などが上げられます。
例えば、アマゾンマーケットプレイスを利用すれば、自分でECを開設するよりはるかに早く、簡単に大きな売上を得られます。
WEBサービスを作りたい人はAWSを使えば、初期投資をぐっと抑えて素早く優れたサービスを開発できます。
音声アシスタントも、Alexa Custom Assistantを使えば、素早く、簡単にAlexa品質の音声サービスが作れるという訳です。
アマゾンは、利用者から利用料を得て、更にプロダクトを強くする投資を続け、またたく間にそのマーケットで無双状態に入ります。
ウェイクワードが多様化する世界
上述したように、Alexa Custom Assistantを使えば素早く、簡単に、Alexa品質の音声アシスタントが作れるのが利用者のメリットです。
また、ウェイクワードと言われる起動時の声がけも、独自のワードが使えるという特徴があります。
「アレクサ」「ヘイ、シリ」「OK Google」のようなワードです。
例えば、「やあパナソニック」「起きてプリウス」「あそぼうルンバ」などウェイクワードが乱立する未来が予想できますね。
このようなウェイクワードは、利用者が直接読み上げる為、企業のブランディングに大きな影響を与えるので大手企業は必ず自社の特徴的なワードを抑えにくるでしょう。
独自アシスタントの開発は一部で十分
いくら独自アシスタントの機能を開放したとはいえ、多くの企業は音声アシスタントを開発することが本業ではありません。
多くの企業はAlexaでできる事はAlexaに任せる(連携する)形で、より自社に特化したサービスを作り込む事でしょう。
例えば、電話の発信や、メモ、音楽の再生等すでにできる事はAlexaに任せ、自社商品の細かい操作等を開発で作り込んでいくイメージとなります。
逆を言うと、それはAlexaが踏み込めなかった部分であり、結果的にAlexaの力も増すという恐ろしい戦略です。
AIアシスタントの品質が底上げされる
AIアシスタントを名乗るサービスは世の中に乱立しており、本当にAIと言って良い品質なのか怪しいサービスも散見されます。
AIという言葉がバズワードなので、企業も積極的に利用したほうがマーケティング戦略上好ましいのです。
ただし、GAFAが作るレベルのAIアシスタントと、一般企業が作るAIアシスタントでは天と地程の差があります。
それらの、野良AIアシスタントがAlexa Custom Assistantを利用する率が高まれば、世の中のAIアシスタントのサービス品質が数段底上げされる事が予想できます。
普及のポイントは価格
Alexa Custom Assistantが普及するかどうかは、価格設定が大きなポイントとなるでしょう。
AWSも、サービス価値に対して利用料が安い事で広まったと言っても過言ではありません。
※品質に関してはそこそこの頻度で障害も発生しており、100点とは言い難い為。
いかに、安く、ある程度求める品質を担保してリリースできるかが、AIアシスタント市場をアマゾンが素早く独占できるかのポイントになるでしょう。
AIアシスタントの先に
アマゾンは、AIアシスタントを作りたい、売りたいのではなく、人とのタッチポイントをより多く抑えたいとも想定できます。
自社のAlexaだけでは限界がありますが、外部への提供により、より多くのタッチポイントを得ることができます。
まとめ
アマゾンは常に大きなビジョンでビジネスを広げ、市場を独占するだけの力があります
このような小さなニュースも、背景や戦略を考えるとアマゾンの野望が見えてくるかもしれません。