「GINZA SIX」18店舗が閉店 インバウンド需要消滅で危機感

  • 2021-01-20
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GINZA SIXで大量閉店

銀座最大級の商業施設である、GINZASIX(ギンザシックス)で、2021年1月17日、アパレルショップ、コスメ、飲食店等を含む14店舗が閉店しました。

さらに、遡ると2020年末に2店舗、1月10日に2店舗閉店しており、この1ヶ月の間に18店舗が閉店しています。

2017年4月に華々しくオープンした、GINZA SIXに何が起きているのでしょうか。

インバウンド需要の消滅

やはりGINZA SIXに大きな影響を与えてると想定されるのは、新型コロナウイルスによるインバウンド需要の消滅です。

中でも、中国人旅行客をターゲットにしていたインバウンド狙いのGINZA SIXは大きなダメージを受けています。

地元に根づいた顧客がいない

インバウンドをターゲットにしていたということは、言い換えれば日本人は相手にしていなかったという事でもあります。

つまり、地元に根づいた太客が居ないので、コロナショックと共に客足が途絶えてしまったのでしょう。

百貨店は、どこも同じような高級ブランドが入店し、その差別化が難しい業態でもあります。

強みを出すなら、接客やおもてなしで、いかに太客を抱えるかが重要ですが、GINZA SIXはその点今後の戦略に大きな修正が必要でしょう。

撤退企業の思惑

GINZA SIXから撤退する企業も、GINZA SIXでの売上が下がったから撤退するという理由では無いでしょう。

そもそも、1つの店舗での売上に対して、銀座の一等地は家賃が高すぎるので割に合いません。

GINZA SIX等の一等地に出店する価値は、宣伝広告効果です。

多くの人の目に触れて、手に取れる場所を提供するという意味で、企業は広告宣伝費の予算から出店費を払うメリットが有るかを判断します。

もぬけの殻となったGINZA SIXには、その宣伝効果がもはや無く、赤字を垂れ流す店舗を残す価値が薄まっていると想定できます。

同業種の新規参入も難しい

18店舗が閉店し、1月下旬には新店舗のオープンが予定されていますが、同じようなアパレルや飲食店が出店費用に見合うメリットを得る事は困難です。

新規参入するには、かなりの勇気が必要なテナントであることは間違い無いでしょう。

賑わいを見せる蔦屋書店とスタバ

GINZA SIX

GINZA SIXで人気を保っているのは、蔦屋書店やスターバックスコーヒーです。

おしゃれで、デザイン性に優れた空間で、コーヒーを飲みながらゆっくりと時間を過ごせる、蔦屋書店×スターバックスのエリアは今も多くの人が訪れます。

求められるのは”体験”

蔦屋書店とスタバが強さを見せるように、いま商業施設に求められるのは、ユニークな顧客体験なのです。

物を買いに行くだけなら、ネットショップで十分事足りるだけでなく、新型コロナウイルスによる接触機会をなるべく減らしたい人々にとってはむしろ店舗はリスクです。

では、店舗の役割は何かと言うと、ここでしか得られない特別な体験を提供する場であると言えます。

GINZA SIXが魅力的な場となるために

GINZA SIXの店舗一新に伴い、日本人にどれだけ体験を提供できるかが、魅力的な商業施設に生まれ変われるかどうかのポイントになるでしょう。

ターゲットの見直しも必要ですし、デジタルとリアルの融合をどこまで素早く実現できるかも重要です。

インバウンドがターゲットならば、ある意味顧客情報を取得しなくても良かったですが、地元の日本人をターゲットにするならばしっかりと顧客情報を蓄積する必要があります。

誰が、いつ、どんな目的で来店したのかのビッグデータを収集し、顧客が求めるものが何なのかをいち早く掴む事が重要です。

GINZA SIXには、この厳しい状況をむしろチャンスと捉えて、全国の百貨店に先駆けてデジタルトランスフォーメーションのお手本を示す存在になって欲しいと思います。

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